南アルプス:甲斐駒ケ岳・仙丈岳、県警ヘリで救助!

今年は、百名山の登山ブームになった!
深田久弥の「日本百名山」が出版されて50周年です。

    百の頂きに百の喜びあり!

NHKで、幾つかの百名山特集があり、今夏は南アルプス未踏の甲斐駒ケ岳・仙丈岳に登ろうと決めていました。

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例年は、危険な5月のジェットストリーム(春嵐)が過ぎて無雪期の百名山から足慣らしをしますが、今年はいきなり夏山からのスタートになってしまいました。

登山に行ったのは、7月23日~25日です。

ブログの更新が大幅に遅れたのは
この山旅レポを公開するか今まで悩んでいました。


梅雨明け10日間が天候も安定して、絶好な夏山シーズンです。
年々体力が衰えていく私達には、今年も安全登山が一番のテーマです。

念入りに気象協会やウィザニュースの山の天気予報をチェックし!
信州旅歩紀サイト内(こちら)で、命綱となる山の携帯電波情報も入手します。


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そして、万が一の事故に備え、山岳保険に加入します。

中央高速を愛車で走り、長野県伊那市長谷村の仙流荘前に到着しました。
ここから、登山口のある北沢峠まで乗合バスで向います。

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バス待合所に「山の安全かわら版」が置かれていました。
この山域で昨年、死者5名行方不明1名が発生したと知り緊張が走ります。

乗合バスで勾配のきつい南アルプス林道を高度を上げて行きます。

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明日登る南甲斐駒ケ岳が車窓から見えます。
約一時間余りで、標高2030メートルの北沢峠に着きました。

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バスを下り山梨側に10分ほど下るとテントサイトを管理する北沢長衛小屋です。幕営料を払い、早速ベースキャンプとなるテントを設営します。

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乗合バスのお陰でいつもよりは沢山の食材を運べました。今夜の献立は明日からの山行に備えスタミナのつく焼肉(和牛)です。

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焼肉には、甲州のワインです。テントサイトを流れる南アルプスの源流水で冷やしました。明日に備え早めに就寝します。


  百名山90座:甲斐駒ケ岳  

山は早立ちが原則です。早朝に小屋の前から北沢沿いに登って行きます。

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最後の水場のある仙水小屋に!
水くださいと!声をかけ、手が切れるような冷たい水を補給します。

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原生林を抜けると露岩帯の出た仙水峠へ
晴れていれば、正面に魔利支天が聳え立っているはずですが!

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標高差500メートルの展望のない原生林の中を、ひたすら登ります。
到着した駒津峰は、雨交じりの強風が吹き荒れ一緒に登っていたパーティーがこの天気ではと全員が引き返します。

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霧で視界が見えない中、巻き道の狭い岩稜を転落に注意しながら前進します。

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花崗岩の白砂を敷きつめた甲斐駒ケ岳(2976m)の山頂です。あいにくの悪天候なので記念のツーショットを撮り足早に下山します。

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六万石のコル付近で、天候が晴れようやく視界が開けてきました。

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ハイマツと白浜が美しい足元には可憐な高山植物の花々が癒してくれます。

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駒津峰からは、双児山ルートで北沢峠に下山をします。

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テント場に戻ってきました。
北沢長衛小屋で生ビールを買います。
こんな山奥で恵比寿の生が飲めるなんて!感激です。


  百名山91座:仙丈岳  

今日は、仙丈岳をピストンし下山後テントを撤収しバスで登山口の仙流荘に戻りマイカーで250kmを走行し帰宅予定です。忙しい一日になりそうです。
小屋の灯りもつき、4時30分ヘッドランプを付けテントを出発します。


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北沢峠から針葉樹の森を二合目の尾根分岐に向け登っていきます。1時間程経つと樹林帯も明るくなりましたがジグザグのきつい勾配に音を上げ気味です。

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登山道には嬉しい道標が・・・
ファイト!」と云った応援メッセージが記されています。
その下に小さく長谷中学校と書かれていました。
この道標をみて、思わず「頑張らなくっちゃ!」と励まされます。

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五合目となる大滝頭です。右に分岐するとお花畑のある馬の背コースですが直進し小千丈岳コースに向います。

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森林限界を過ぎると展望が開け、ハイマツ帯の気持ちの良い尾根コースです。前方で学生の集団グループが道を譲ってくれます。

地元の学生さん! ← えぇ長谷中学の二年生です。
もしかして「ファイトの道標」立ててくれたの? ← えぇ私達が立てました。
あどけない笑顔の中学生たちと会話が弾みます。

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大正時代この地区の生徒達が遭難死した新田次郎の山岳小説「聖職の碑」がありましたが、今でも地元中学生に慰霊登山が受け継がれているんですね!

ピーカンで360度の展望です。
振り返ると、昨日登った甲斐駒ケ岳がくっきり見えます。
ガスッて判りませんでしたが男性的な山塊です。

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あれが仙丈岳だ!

正面に仙丈岳が見えてきました。
南アルプスの女王と言われる美しい山容です。

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尾根道を、南(太平洋方面)に向けると遠くに富士山(3776m)がみえます。
手前の二つの頂きが、富士山に次いで日本で二番目と三番目に高い北岳(3192m)と間ノ岳(3189m)です。

日本の高度ベスト三の峰々が見渡せる尾根道を歩くのは至福の時間です。

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千丈岳に到着です。せまい山頂には記念撮影をする人、弁当を拡げ食事をする人、ガスボンベでコーヒを沸かす人と賑やかです。

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お花畑の美しい馬の背ルートで下山を開始します。

馬の背カールは、南アルプスの中で高山植物の有数な宝庫ですが、お目当てのお花畑は鹿の食害に荒らされています。

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お花畑に鹿の侵入を防ぐ防護柵を設置しています。一昨日は鹿の食害被害視察に石原伸晃環境大臣が訪れたと言ってました。

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山登りは下山時に事故が多いといわれています。
充分注意していたはずですが突然のアクシデントが起きたのはこの場所です。
何でもない平坦な山麓のトラバース道です。

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突然に浮石につまづき転んだ妻が「痛い~!」とうずくまりました。

足首を揉んだり擦ったり様子を見ますが痛みが治まりません!
判ってはいましたが携帯電話は繋がりません
妻を残し救助に先ほど通り過ごした藪沢小屋に戻ります。

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小屋番さんが駆けつけて足首を見てくれます。
骨折かも知れませんので無理をしない方がいいですと!
小屋に引き返し救助要請の連絡を始めるそうです。

北沢峠から何人かの救助隊員が背負い降ろしに来てくれるそうです。
暫くすると、県警山岳救助隊から連絡が入り県警ヘリコプターが空いているのでこちらに向うそうです。

ヘリコプターには、奥さんしか乗れませんのでご主人は北沢峠まで徒歩で下山してくださいと!

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尾根伝いを無事を祈りながら北沢峠へ急いで下ります。ブルブル!という音に上空を見上げると救助ヘリが樹間に見えてきました。

北沢峠では、南アルプス北部地区の災害レスキュー隊が待っててくれました。名前を告げると4輪駆動のハーフトラックでテントの撤収を手伝ってくれでスーパー林道をマイカーを置いた仙流荘まで送り届けてくれました。

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待機していた地元の警察の方が
奥さんは伊那中央病院に搬送されましたと!
急いで病院に向います。

病院では足首に応急措置のギブスをつけた妻が待っていました。
骨折は避けられましたがアキレス腱が損傷のようです。


  安全登山の気づき!  


山では何が起こるか分りません!

  登山は自己責任で行うもの!  
        遭難を起こしたときは自分達で対処する。

そんな心構えでしたが!自分だけは遭難に遭わないと過信もしていました。
今回、周りにご迷惑をかけてしまい今は穴があったら入りたい心境です。

恥ずかしさでブログへのアップも躊躇してましたが
貴重な経験だから反省記と役立つ情報を発信すればと友人から言われ!

長野県山岳遭難防止対策協会の啓蒙ポスター、山岳映画「岳」の原作者・石塚真一さんの「山登り・10訓」と対比しながら安全登山の気づきを発信します。

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     ①、山の天気は生死を分ける、天気予報は遭難予報!
     ②、年齢考えひかえめ登山、過去の体力過去のもの
     ③、山頂は通過点、下山道こそ細心注意     
     ④、命の道しるべ登山計画書は家族に託すメッセージ!
     ⑤、もしもに備える山岳保険

過去の体力過去のもの!下山道こそ細心注意!
年齢とともに体力は確実に衰えてきます。訓に心底から戒められます。

新しいネットの登山計画書

幸い今回は、トップシーズンで沢山の人々が山にいましたが
もし、オフシーズンに単独行でアクシデントに遭い歩けなくなったら!
そんな時、命の道しるべになるのが「登山計画書」です。それもネットで進化した日本山岳ガイド協会開発の無料ソフト「コンパス」(こちら)です。

ネットで登る山のMAPを出して、画面にピンをさして登山コースを設定しを下山日時をコンピューターに登録すれば、警察や家族・知人にも転送される仕組みです。下山予定時刻が過ぎても、下山メールがなければ、家族に連絡が行き、遭難にいち早く気づけるようにしています。

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警察に届いた登山届けにも登山コースの緯度・経度が記録されていますので遭難ルートの正確な特定ができます。

御嶽山の火山災害を機に登山計画書の提出を義務づける動きが始まりました。警察庁の調べでは、約83%が「登山計画書」を出してないそうです。この新しいネット登山計画書「コンパス」の出現で捜索の信頼性に期待がかかります。


もしもに備える山岳保険

危険で沢山の人が命をかける山岳救助は高額な費用が請求されます。
もしもの時に備え山岳保険の加入は家族への思いやりです。でも年に数回または危険の少ない軽登山者にとっては従来の山岳保険はオーバースペックです。

山行スタイルに応じて保証グレードが選べ、日割りで加入できるネット山岳保険が出回りました。

例:モンベルの野遊び・山行保険(こちら

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保険会社の回し者ではありませんが、登山日数分だけネットで直前契約ができます。安心と一緒に出かけましょう


お世話になった長野県山岳救助隊

痛ましい山岳遭難事故を見ながら、まさか自分達が救助ヘリや山岳レスキュー隊のお世話になるとは思っていませんでした。
長野県警管内で年間平均30~50人の遭難死者があるそうです。

レスキュー隊の皆さんの活躍とご苦労を綴った山と渓谷社の「レスキュー最前線:長野県警察山岳救助隊」を読みました。

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二次災害の危険に晒されながら、懸命に活動する実話に心を打たれました。

改めて今回、お世話になった南アルプス北地区遭難対策協議会、長野県警山岳救助隊の皆様に、この誌面を借りてお礼を申し上げます。

ご迷惑をおかけしました!ありがとうございました。 

子育てを終えてから始めた「夫婦で登る百名山」、コツコツと積み重ね数えたらいつの間にか91座に!カウントダウンがそろそろ近づいてきましたが、今回の事故は天が警告してくれたようです。急がない無理をしないをモットーにします。


  菜園の近況